ゴム切削加工コストダウンのポイント

ゴム加工とは

ゴム加工とはゴムを目的の形状に加工することです。一口にゴム加工といっても、ゴム加工には複数の加工方法が存在します。ゴムに合わせて、加工方法を変更する必要があります。

加工法にはいくつか種類があり、大きく分けると、型に押し込むことで成型する金型加工と、不要な部分を削っていく切削加工に分けることができます。一定の量がある場合には金型加工が、小ロットや試作の段階においては切削加工が適しています。今回は切削加工に焦点をあてて紹介します。切削加工の中には、ウォータージェット加工やロクロ・旋盤加工、切削・一体加工、NCフライス加工などがあります。

ゴム加工でよく使われる材料

ゴムの中でも切削加工で一般的に使用されるゴムを抜粋して、そのゴムの特徴を紹介します。

①シリコーンゴム(Q)

シリコーンゴムはケイ石から還元と化学反応によって生成されたゴムです。特徴としては耐熱性、耐寒性、耐電性といった耐性をもち、発色性や透明性も優れています。また成分には人体に有毒なものが含まれていないため安全性も保持しています。その他にもまたゴムの中を気体が通過できる指標であるガス透過性が優れています。用途としてはエレクトロニクス、化学、繊維、食品、化粧品、建築など様々な業界で使用されており、一部抜粋すると食品機械部品、設備部品、電気部品、電子部品などに使用されています。

②ウレタンゴム(U)

ウレタンゴムは分子内にウレタン結合-NHCOO-の構造をもつ高分子化合物です。特徴としては耐摩耗性、耐荷重性、耐薬品性、耐油性といった耐性をもち、また高弾性で機械的強度も強いです。用途としては、ローラー、キャスター、フォークリフトのタイヤなどに使用されています。

③天然ゴム(NR)

天然ゴムは、天然の樹液から作られたゴムです。特徴としては弾力性があり、伸縮性、機械的強度に優れています。用途としては、トラックやバスのタイヤ、ホースや履物、一般工業用品に使用されています。

④クロロプレンゴム(CR)

クロロプレンゴムは天然ゴムを改良したゴムです。特徴としては各性能がバランスよく整っており、飛びぬけた長所はないですが耐候性、耐薬品性、耐熱性、耐寒性、耐油性をバランスよく保持しています。また難燃性やガス通過率が低いといった特徴を持っています。用途としては、自動車部品やワイヤー、ケーブル、工業用部品、ウェットスーツ、接着剤などに使用されています。

⑤ニトリルゴム(NBR)

ニトリルゴム(NBR)は、ブタジエンとアクリロニトリルが重合したゴムです。特徴としては、耐油性、耐熱性、耐摩耗性といった耐性を保持しています。用途としてはオイルシールやガスケット、耐油ホース、コンベアベルトなど耐油性を生かして使用されています。

⑥エチレンプロピレンゴム(EPDM)

エチレンプロピレンゴムはエチレンとプロピレン、ジエンが重合したゴムです。特徴としては、耐候性、耐オゾン性、耐水性といった体制をもっています。用途としては自動車用部品、パッキン、電線被膜、コンペアベルトなどに使用されています。

⑦フッ素ゴム(FKM)

フッ素ゴムの中にも複数の種類がありますが、代表的なゴムはフッカピレニデン系で、市場の8割ほどを占めています。特徴としては、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐溶剤性、耐オゾン性に優れています。用途としては、自動車部品や半導体関連機器、化学工場の耐食パッキン、ガスケット、ポンプ部品などに使用されています。

ゴムの硬さについて

ゴムの硬度は0°~90°で表されており、一般的にゴムとして用いられる硬度は50°~70°くらいになっています。約10°で人肌の硬さで、約30°で消しゴム、約60°でタイヤの硬さ、約90°でゴルフボールの硬さに近いと言われています。またゴムの硬さはデュロメーターという硬度計で測定します。ただ柔軟な素材であるゴムは硬さにバラつきが発生します。そのため業界的にも誤差が許容されており、カタログや商品紹介ページには±5のように表記されています。

ゴム加工でよくあるトラブル

ゴムの硬度が低く、柔らかい場合切削加工をすることが難しく、成形加工をする必要がありますが、通常の成形加工では金型が必要なため試作品目的だと無駄に費用が発生してしまいます。その解決策としては、ゴムの性質や精度に制限はありますが、真空中型で製作することにより、金型を製作せずにゴム加工がすることができます。これにより切削加工ができなくてもコストも抑えることができます。

ゴム加工コストダウンのポイント

ゴム加工におけるコストダウンのポイントとして無駄を省くことが挙げられます。例えば試作品などで、大量生産しなくても良い場合には金型を使用する成形加工ではなく切削加工に変更することで、無駄に金型を製作しなくてよくなりコストダウンをすることができます。その他には加工業者へ委託する際に、材質をメーカー品番を指定して発注するのではなく、必要な機能や色などスペックのみ指定することで加工業者が最適な材質を選定し、コストダウンを繋げることができる可能性が増えます。

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